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開発ストーリー

光ピックアップ光学調整機への挑戦

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        光ピックアップ光学調整機

今回ご紹介いたします光ピックアップ光学調整機は、光ディスクのドライブに内蔵する光ピックアップ(OPU)を調整・評価するための装置です。

光ディスクは、1980年代に普及したCDから始まり、1990年代にはDVDがテープメディアには無いランダムアクセス性を武器に世の中に広がりました。

この普及の過程で主役を演じたのは日本メーカ、特に電機、電子また化学メーカであり、中でも、光ディスクのドライブに搭載された信号読み書きデバイスであるOPUの生産は日本メーカ独壇場でした。

そのOPUの生産ラインにおける調整・評価方法は、1980年代は「電気特性」を測定し組立調整を行う装置(電特調整装置)が主流でした。

しかし、電特調整装置は調整時間が長い、不良原因の追究が難しい等の問題点があり、市場から改善が求められていました。

そこで、この問題を解決すべく、当社は保有する光学技術を使ってOPUの「光学特性」を測定し組立調整を行う装置(光学調整装置)/光ピックアップ光学調整機を開発しました。

開発の最大目標は、電気特性調整装置の性能を大幅に上回るパフォーマンス(高速調整)を実現することであり、それを達成するには従来手法とは全く違う手法で開発検討を行う必要がありました。

電特調整では、Jitterと言う信号の品質を表す指標を使ってOPUの調整を行います。

しかし、Jitterの最良点は100点満点ではなく、調整されるOPU個別に70点であったり80点であったり最良点が異なっています。

つまり、最初にOPU個別の最良点を探し出し、目標を設定する工程が必要になるので、その分の時間のロスが発生します。

一方、光学調整ではOPUから出射されるビームスポットの形状を測定し調整を行います。具体的には、ビームスポットの上下、左右のバランスを取る様に調整を行う方法になるので最良点100点が存在することになります。

つまり、目標と調整方向が明確であるため先述の時間ロスを無くすことは原理的には可能になります。

ただ「高速」調整となるともう一つクリアしなければならない問題があります。焦点も位置も合っていない状態から1um程度という微小サイズビームスポットを高速で見つけることです。この問題に関しては、同一筐体内にいくつかの機能光学系を同時に配置する光学センサ技術により解決することができました。

具体的には、焦点合わせサーボを行う光学系、位置決めサーボを行う光学系を測定光学系と効率良く共存させる
ことで高速焦点、位置決めサーボを実現させる技術です。この結果、電特調整装置の半分以下の調整時間でOPUの調整を完了することが実現できました。

次に当社ではOPUメーカに対し様々な提案を行いました。まず、調整機に光学特性の測定機能を追加した装置をOPUメーカに提案しました。

光学特性とは収差という光学部品を透過することで発生する光の歪として表現されます。OPUが持つ収差の測定を行うことで原因を特定することが可能となります。この装置の提供を始めてOPUメーカの品質向上につながりました。

また、前段においてOPU光学系の収差を測定する機能を追加したことで発生している収差量の実態がわかってきました。解析してみるとOPUの発光部の調整を行うことで提言可能な収差があることが判明したので、新たにOPU発光部の調整装置を提案しました。


LDとLD光を平行光にするレンズの位置関係を調整することでOPU全体の収差を抑えることが可能となります。

従来LDとレンズの間隔調整は行われて来ましたが他に調整軸は5軸(チルト2軸、位置2軸と回転)となります。

当社では、この5軸と間隔を加えた6軸調整が可能な装置を開発、OPUメーカに提案しました。

ここにも複合機能を搭載した光学センサ開発技術が生かされました。この装置を導入いただいたOPUメーカからは直行率の改善につながったとの評価をいただくことが出来ました。

この様に当社ではOPUメーカに対し実際に様々な提案を行いOPUの生産効率、直行率の改善に寄与してまいりました。

現在では、最高水準の光ディスク技術Blu-rayのOPU製造ラインにおいても光学特性を使った調整、評価は一般的に行われています。

当社が繰り返し行ってきた開発、提案、試作、量産を短期で行うということは当社の企業力として受け継がれています。

また、1つの筐体の内部に複合機能を搭載した光学系を開発する技術は現在でもスマートフォンのオートフォーカスモータや光学式手振れ防止(OIS)モータの検査装置に生かされております。